戦史の1ページ

 

隣国との戦争真っただ中…その日も俺は戦車の上でゴシップ誌を読んでいた


なんでそんなに呑気かって?

俺の配属された任地は周囲に重要拠点が一切なく

侵攻経路としても微妙だと敵国と我が国の意見が一致している平和なエリア

悪く言えば双方に不要なゴミエリア…

敵もこっちも やる気が無いんだ

・・・

◆味方兵士A「よぉゴシップ”(低俗野郎) 相変わらず暇そうだな」

お前もな”ポーク”(豚野郎)

・・・

 

       

イデオロギーだか神様がどうとか…まあ俺にはよく分からん理由で戦争は始まった

こんな場所でも最初はドンパチやってたが

次第にドンが無くなりパチパチやるようになって…

今じゃ朝30分と夕方30分間で適当に撃ち合う”1時間戦争”だ

この日も前日と同じ様に過ぎていく___はずだった

 

 

◆部下1「おかしいですね…朝9時なのに敵の戦車部隊が撃ってきません」

◆部下2「昨日は敵国の建国記念日だったし 羽目を外し過ぎてまだ寝てるなーこりゃ」

 

       

昼前は我が国最強兵器のお手入れタイム

その巨大な砲塔から繰り出される砲弾は戦艦だろうが一撃で沈める威力ッ!


…問題は敵の戦艦も要塞もココにはねえ事と

砲弾が基地に3発しかない事だ‥‥試し打ちすら出来ねえよ

コイツのタマは大変貴重なのでテメエの金玉ぐらい大切に扱いましょう

___そういっていつも新兵を笑わせてる

一度でいいからこいつで戦ってみたいもんだ

 

       

昼食を済ませていつもの巡回コースを戦車で移動している時だった

◆味方兵士A「こちらアルファ!緊急事態発生!至急応援を乞う!」

◆部下1「こちらガンマ何が起きた 説明を」

◆味方兵士A「巨人だ!でけえ巨人が攻めて来た!!!」

‥‥あいつまた朝から酒飲みやがったな…

こちらガンマ 至急水を持っていく ゲロ吐くなよオーバー

◆味方兵士A「俺は酔ってねえ!本当に巨人が___」

こちらガンマ どうした応答しろアルファ!通信が‥‥途絶えた…?

 

 


       

アルファ隊の展開していた地点に急行した俺たちの目に

信じられない光景が飛び込んできた


‥‥巨人が森を歩いてやがる

◆部下2「なんだありゃ?!映画の撮影か!?」

◆部下1「‥‥あの巨人の通って来たエリアには___アルファ隊が展開していたはずです」


総員戦闘準備‥‥アルファ隊の仇を取るぞ

◆部下1「すでに照準は合わせてあります」

◆部下2「巨人のデカいペ〇スを拭き飛ばしてやるぜ!」

 

       

戦車4両の同時攻撃を受けた”巨人”

だが…奴には傷一つ付いちゃいなかった

 


◆部下2「嘘だろ…戦車の主砲だぞ?!間違えてBB弾を装填しちまったのか!?俺は!?」

◆部下1「‥‥120mm徹甲弾を食らって…有り得ない…そんな装甲あるはずが…」

呆然とする部下たち___いやその時は俺も唖然としていた

あの時すぐに後退を指示していれば…あいつらは‥‥

 

       

俺の体は脳ミソが指令を出す前に動いていた

その数秒後…前に居た2両が吹き飛び 俺の頭は事態を飲み込んだ

 


必死に逃げ回りながら俺は考える

戦車の主砲が効かねえ化け物なんて‥‥どう倒せばいいんだ!?

そして…ある答えに辿り着いた

目には目を…化け物には化け物だ___!

 

       

俺は毎日昼前に行く…あの場所へ向かった

いつも寝てばかりいる…我が国最強の兵器様 出番だぜ

格納庫を出ると”巨人”はもうすぐそこまで迫っていた

‥‥俺以外はヤツにやられちまったのか

安心しろ ヤツは俺が刺し違えても地獄に墜とす

 


___俺の攻撃よりも敵の反応が僅かに上だった

胴体を撃ち抜くはずだった砲撃は

奴の左腕を吹き飛ばしたが…致命傷にはならなかった


2発目は紙一重で避けられた

最後の1発を装填する間にも奴は

右手に持った銃の化け物を撃ちながら猛スピードで接近してくる

旋回でどうにか直撃は免れたが‥‥足(履帯)をやられた

 

       

残弾1‥‥

気の早い俺の脳ミソは走馬灯を見せてくる


◇部下2「今日は俺が奢りますよ隊長!‥‥なので昨日の負け分はチャラって事で!」

あの野郎…結局金を払わなかったな…

◇部下1「隊長はこんな辺鄙な場所で終わるつもりですか?もっと上を目指すべきです」

‥‥すまん期待に応えられそうもない が…失望もさせねえ


限界まで集中した意識は 世界から色を奪い時間の進みを遅らせる

まるで時が止まったような白黒の世界で__俺は”巨人”に照準を合わせた



俺の砲撃は”巨人”の股間をぶち抜き

”巨人”はバラバラに吹き飛んだ

野郎共‥‥仇は…取ったぜ…

 

       

その後…俺が倒した巨人…ポルタノヴァの残骸は国が回収

解析したデータを基に地球初の人型兵器アルトが誕生した

そのあとのゴタゴタは省略するが‥‥

あれから3年 ついにバイロン軍の本隊が地球に侵攻してきやがった

__安心しろ もうアイツ等の好きにはさせねえ

 



 

コイツは俺が乗ってる”巨人”…エグザマクス 陸戦アルト-カスタムだ

俺の頼もしい相棒さ

・・・

・・・

‥‥っと、そろそろだな、来年も生きてたらまた来るよ

俺がへたれそうになったら…あの世からケツを思いっきり蹴ってくれ


___”ゴシック”より各機へ‥‥パーティーを始めるぞ

 

戦史の1ページ ー完ー